仮登記担保設定契約書

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書式の一部抜粋(本文)

仮登記担保設定契約書

債権者○○○○(以下「甲」という)と債務者○○○○(以下「乙」という)は、次の通り契約した。

第1条(被担保債権) 乙は、甲に対し、甲乙間の令和○年○月○日付金銭消費貸借契約(以下「原契約」という)に基づき、下記債務(以下「本件債務」という)を負担していること確認する。

① 元 本 金○○万円
② 利 息 年○分
③ 損害金 年○分
④ 弁済期 令和○年○月○日
⑤ 弁済方法 ○○
第2条(代物弁済の予約) 乙は、本件債務に関して、以下の約定により、乙所有の後記不動産(以下「本件不動産」という)の所有権を、代物弁済として甲に移転することを予約し、甲はこれを承諾した。
2 甲は、乙が本件債務を原契約に従って甲に弁済しない場合には、乙に対し代物弁済予約完結の意思表示をすることができる。
第3条(所有権移転登記請求権保全の仮登記) 乙は、本契約締結後、直ちに、本件不動産について、甲のために前条の代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権保全の仮登記を、甲と共同して申請するものとする。右登記手続費用(司法書士報酬を含む。)は乙の負担とする。
第4条(仮登記担保権の及ぶ範囲) 第2条による弁済予約の効力は、本件不動産について、本契約締結時に現に存する一切の附合物及び従物のほか、本契約締結後に付加されたすべての附合物及び従物並びに増改築部分に及ぶものとする。
第5条(担保権実行方法の選択) 甲が、本件不動産の上に、本件債務のために抵当権又は根抵当権を設定したときは、本件債務の弁済を受けるため、甲は、第1条による代物弁済の完結若しくは抵当権又は根抵当権の実行のいずれについても、自由に選択できるものとする。
第6条(仮登記担保権設定者の注意義務) 乙は、本件不動産を善良な管理者の注意をもって保管し、甲の文書による承諾なしに、次の各号の行為をしないことを確約した。
一 本件不動産を第三者に譲渡し、質権・抵当権・仮登記担保権その他の担保権の設定、若しくは賃借権・地上権その他の用益権の設定等本件不動産の権利関係に変動を生ずる一切の行為。
二 前号の他、本件不動産の価額を減少する恐れのある一切の行為。
三 本件不動産に対する、改造、増改築又は模様替え等の工事。
第7条(仮登記担保権設定者の通知義務) 乙は、その原因のいかんを問わず、本件不動産の全部又は一部の滅失・毀損が生じたときは、直ちにこれを甲に通知しなければならない。
第8条(担保提供義務) 本件不動産の滅失・毀損・価格減少等の発生に基づき甲から増担保、若しくは代担保を提供すべき旨の請求があったときは、乙はこれに応ずるものとする。
第9条(評価額等の通知) 甲が第2条第2項によって乙に対し本件不動産の代物弁済予約を完結させる旨の意思表示をした場合には、それとともに、下の各号に基づいて算定した本件不動産の評価額、債権額及び清算金額を乙に通知するものとする。
一 本件不動産の評価額は、甲の選任した不動産鑑定士の鑑定によるものとする。ただし、鑑定費用は乙の負担とする。
二 本件不動産の評価額は、本条本文の通知が乙に到達した日から起算して2ヵ月(以下「清算期間」という)経過した日を基準とする。
三 債権額は下の各金額の合計額をいう。
 ① 本件債権の元利金及び弁済期日後清算期間が経過する日までの損害金。
 ② 本件不動産の鑑定費用。
 ③ 第3条の仮登記手続の費用
 ④ 本契約書作成費用及び印紙代
 ⑤ 上記2ないし4以外で乙の負担すべき費用を甲が代わって負担したもの。
四 前記1号の評価額が前号の債権額を超える場合は、その額を清算金とする。
第10条(不足額の支払) 前条4号の評価額が同条3号の債権額にたりないときは、乙は甲に対して、直ちにその差額(不足額)を支払うものとする。
第11条(清算期間内の弁済) 清算期間内に乙が第9条3号の債権額を弁済したときは、甲は乙に対し、第3条の仮登記の抹消登記手続をするものとする。右登記費用は乙の負担とする。
第12条(本件不動産の明渡等) 乙において清算期間内に第9条3号の債権額を弁済できなかったときは、乙は甲に対し、清算期間経過後直ちに本件不動産を引渡し、かつ、自己の負担において第3条の仮登記に基づく所有権移転本登記手続をしなければならない。
第13条(同時履行) 前条の場合において、甲が乙に対し、清算金を支払うべきときは、本件不動産の引渡し及び登記義務の履行と引換えに、これを履行するものとする。
第14条(契約解除) 甲又は乙は、相手方が次の各号の一つに該当したときは、何らの通知催告を要せず、直ちに本契約を解除することができるものとする。なお、この解除は損害賠償の請求を妨げない。
一 本契約に違反したとき
二 手形、小切手を不渡りにする等支払い停止の状態に陥ったとき
三 仮差押え、差押え、仮処分、競売等の申立を受けたとき
四 破産、民事再生、会社更生、特別清算等の手続申立を受け又は自ら申し立てたとき
五 その他本条各号に類する事実があるとき
第15条(反社会的勢力の排除)
1 甲及び乙は、自己又は自己の代理人若しくは媒介をする者が、現在、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなったときから5年を経過しない者、暴力団準構成員、暴力団関係企業、総会屋等、社会運動等標ぼうゴロまたは特殊知能暴力集団等、その他これらに準ずる者(以下これらを「暴力団員等」という。)に該当しないこと、および次の各号のいずれにも該当しないことを表明し、かつ将来にわたっても該当しないことを相互に確約する。
一 暴力団員等が経営を支配していると認められる関係を有すること
二 暴力団員等が経営に実質的に関与していると認められる関係を有すること
三 自己、自社もしくは第三者の不正の利益を図る目的または第三者に損害を加える目的をもってするなど、不当に暴力団員等を利用していると認められる関係を有すること
四 暴力団員等に対して資金等を提供し、または便宜を供与するなどの関与をしていると認められる関係を有すること
五 役員または経営に実質的に関与している者が暴力団員等と社会的に非難されるべき関係を有すること
2 甲又は乙は、前項の確約に反して、相手方又は相手方の代理若しくは媒介をする者が暴力団員等あるいは前項各号の一にでも該当することが判明したときは、何らの催告をせず、本契約を解除することができる。
3 甲又は乙が、本契約に関連して、第三者と下請け又は委託契約等(以下「関連契約」という。)を締結する場合において、関連契約の当事者又は代理若しくは媒介をする者が暴力団員等あるいは1項各号の一にでも該当することが判明した場合、他方当事者は、関連契約を締結した当事者に対して、関連契約を解除するなど必要など措置をとるよう求めることができる。
4 甲又は乙が、関連契約を締結した当事者に対して前項の措置を求めたにもかかわらず、関連契約を締結した当事者がそれに従わなかった場合には、その相手方当事者は本契約を解除することができる。
第16条(協議) 本契約に定めのない事項または本契約の規定に関して生じた疑義については甲乙協議のうえ解決する。協議の調わないときは民法等法令の規定に従うものとする。

書式内で注意すべきポイント

注1 仮登記担保とは、金銭債務を担保するため、債務不履行の場合に、債権者に担保物件の所有権等の移転等を目的としてされた代物弁済の予約で、仮登記又は仮登録ができるものをいう(仮登記担保契約に関する法律第1条)。
注2 第1条は、債務を特定した条項である。
注3 第2条は、仮登記担保権設定の原因が代物弁済の予約契約であることを明示した条項である。
注4 代物弁済の予約の目的物が、土地・建物である場合は、仮登記担保契約に関する法律の規定の適用を受けることになるが、その権利関係の公示は所有権移転請求権保全の仮登記(不動産登記法105条2号)によってなされる。
注5 後日の紛争を防止するために、第4条で仮登記担保権の及ぶ目的物の範囲について定めている。
注6 仮登記担保は、抵当権に比べ、①迅速な処分が可能であり、②民法第374条のような被担保債権の制限がなく、③短期賃貸借にも対抗できるなど利点も多くある。しかし、①仮登記担保権には、競売権がなく、②根仮登記担保は、強制競売及び破産・更生手続において担保権として認められないので(仮登記担保契約に関する法律14条、18条4項)、抵当権又は根抵当権を併用することを考慮する必要がある。抵当権又は根抵当権と併用する場合には、第5条のような規定を入れておくとよいであろう。
   なお、債権担保のため代物弁済予約と抵当権の設定とが併用される場合には、同一の担保物件に抵当権の登記と仮登記が併せてなされることになる。
注7 予約完結の意思表示は、ふつう内容証明郵便をもってなされるが、法律上特に確定日付ある書面をもってすることを要求されているわけではない。しかし、後日の紛争が生じた場合の証明の便宜上そうするのが得策である。
注8 仮登記担保契約に関する法律では、「清算金の見積額等その契約の相手方である債務者又は第三者(以下「債務者等」という)に通知し、かつ、その通知が債務者等に到達した日から二月を経過しなければ、その所有権の移転の効力は、生じない」と規定されている(同法2条1項)。
   また、上記通知は、「予約完結の意思表示をした日、停止条件が成就した日その他その契約において所有権を移転するものとされている日以後に」しなければならないので(同法2条1項)、代物弁済予約完結の意思表示をした日以後であればよいことになり、同時になされても差し支えない。
   債務者の所在が不明であるため、この通知をすることができないときは、民法98条の規定の準用によって公示送達の方法をとることとなろう。
注9 通知においては土地等の清算期間経過時における見積価額と債権及び費用の額を明らかにしなければならない(仮登記担保契約に関する法律2条2項)。
   土地等の見積額が債権等の額を超えるときには、その超過額を清算金の見積額として通知しなければならない。
   清算金が生じないと認めるときも、その旨を通知しなければならない。清算金がないというのは、土地等の見積額と債権等の額とが等しい場合と、債権等の額が土地等の見積額を超える場合をいう。
注10 第9条2号及び3号で、土地等の評価の方式について定めているが、土地等の評価の方式については、仮登記担保契約に関する法律に規定がない。したがって、当事者間で定めることもできるし、第三者に評価を依頼するにしても、不動産鑑定士でない者を選んでもよい。ただ、債権者としては、不動産鑑定士に評価を依頼しておけば、後日の紛争防止に役立つであろう。この場合、鑑定の費用(鑑定士の報酬を含む)の負担者を定めておいた方がよい。
注11 第9条2号は、仮登記担保契約に関する法律2条2項の内容を確認したものである。
注12 第9条3号②から④に関する費用は、必ずしも債務者のみの負担となるべき金額ではない(民法558条)。
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