社会福祉法等の一部を改正する法律等の施行に伴う法人登記事務の取扱いについて(通知) 平成29年2月23日法務省民商第29号 

【社会福祉法等の一部を改正する法律等の施行に伴う法人登記事務の取扱いについて(通知) 平成29年2月23日法務省民商第29号】 

社会福祉法等の一部を改正する法律(平成28年法律第21号。以下「改正法」という。)が平成28年3月31日に,社会福祉法等の一部を改正する法
律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令(平成28年政令第349号。以下「整備政令」という。)及び社会福祉法等の一部を改正する
法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令(平成28年厚生労働省令第168号。以下「整備省令」という。)が同年11月11日にそれ
ぞれ公布され,改正法(同法附則第1条各号に掲げる規定を除く。),整備政令及び整備省令は,いずれも本年4月1日(以下「施行日」という。)から施
行されることとなったので,これに伴う法人登記事務の取扱いについては,下記の点に留意し,事務処理に遺憾のないよう,貴管下登記官に周知方取り計ら
い願います。

なお,本通知中,「法」とあるのは改正法による改正後の社会福祉法(昭和26年法律第45号)を,「組登令」とあるのは整備政令による改正後の組合
等登記令(昭和39年政令第29号)を,「施行令」とあるのは整備政令による改正後の社会福祉法施行令(昭和33年政令第185号)を,「施行規則」
とあるのは整備省令による改正後の社会福祉法施行規則(昭和26年厚生省令第28号)を,「商登法」とあるのは商業登記法(昭和38年法律第125号)
をいい,法,組登令,施行令及び施行規則について引用する条文は,特に「旧」の文字を冠する場合を除き,いずれも改正後のものです。

第1 社会福祉法人の機関に関する改正

1 社会福祉法人に設置すべき機関

社会福祉法人は,評議員,評議員会,理事,理事会及び監事を置かなければならないとされ(法第36条第1項),定款の定めによって,会計監査人を置くことができるとされた(同条第2項)。
また,特定社会福祉法人(その事業の規模が施行令第13条の3で定める基準を超える社会福祉法人をいう。)は,会計監査人を置かなければならないとされた(法第37条)が,同条の規定は,施行日以後最初に招集
される定時評議員会の終結の時から適用するとされた(改正法附則第8条)。
なお,社会福祉法人に設置すべき機関が明確化されたことに伴い,社会福祉法人の定款をもって,評議員及び評議員会に関する事項(法第31条第1項第5号),役員(理事及び監事をいう。以下同じ。)の定数その他
役員に関する事項(同項第6号),理事会に関する事項(同項第7号)及び会計監査人を置く場合には,これに関する事項(同項第8号)を定めなければならないとされた。

2 評議員及び評議員会

(1) 評議員

ア 評議員の選任及び員数

評議員は,社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者のうちから,定款の定めるところにより,選任するとされ(法第39条),役員又は当該社会福祉法人の職員を兼ねることができないとされた
(法第40条第2項)。
また,評議員の数は,定款で定めた理事の員数を超える数でなければならないとされた(同条第3項)。

イ 評議員の任期

評議員の任期は,選任後4年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとするが,定款によって,その任期を選任後6年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関
する定時評議員会の終結の時まで伸長することを妨げないとされた(法第41条第1項)。
また,同項の規定は,定款によって,任期の満了前に退任した評議員の補欠として選任された評議員の任期を退任した評議員の任期の満了する時までとすることを妨げないとされた(同条第2項)。

ウ 評議員の権利義務を承継する者

法又は定款で定めた評議員の員数が欠けた場合には,任期の満了又は辞任により退任した評議員は,新たに選任された評議員(一時評議員の職務を行うべき者を含む。)が就任するまで,なお評議員として
の権利義務を有するとされた(法第42条第1項)。

また,同項に規定する場合において,事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは,所轄庁は,利害関係人の請求により又は職権で,一時評議員の職務を行うべき者を選任することができる
とされた(同条第2項)。

エ 評議員に関する経過措置

(ア) 評議員の選任に関する経過措置

施行日前に設立された社会福祉法人は,施行日までに,あらかじめ,法第39条の規定の例により,評議員を選任しておかなければならないとされ,当該評議員の選任は,施行日において,その効力
を生ずるとされた。この場合において,評議員の任期は,施行日以後4年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとするが,定款によって,その任期を同日以後
6年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで伸長することを妨げないとされた(改正法附則第9条第1項及び第2項)。
また,施行日の前日において社会福祉法人の評議員である者の任期は,同日に満了するとされた(同条第3項)。

(イ) 評議員の員数に関する経過措置

改正法の施行の際現に存する社会福祉法人であって,その事業の規模が整備政令第4条で定める基準を超えないものについては,施行日から起算して3年を経過する日までの間,評議員の数は,4人
以上でなければならないとされた(改正法附則第10条)。

(2) 評議員会

ア 評議員会の権限

評議員会は,全ての評議員で組織し,法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り,決議をすることができるとされた(法第45条の8第1項及び第2項)。
なお,法の規定により評議員会の決議を必要とする事項について,評議員会以外の機関が決定することができる旨の定款の定めは,効力を有しないとされた(同条第3項)。

イ 評議員会の招集

定時評議員会は,毎会計年度の終了後一定の時期に招集しなければならないが,評議員会は,必要がある場合には,いつでも,招集することができるとされた(法第45条の9第1項及び第2項)。
また,評議員会は,同条第5項の規定により招集する場合を除き,理事が招集するとされた(同条第3項)。

ウ 決議要件

評議員会の決議は,議決に加わることができる評議員の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては,その割合以上)が出席し,その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては,
その割合以上)をもって行うとされた(法第45条の9第6項)。

エ 議事録

評議員会の議事については,評議員会が開催された日時及び場所,議事の経過の要領及びその結果等を内容とする議事録を作成しなければならないとされた(法第45条の11第1項,施行規則第2条の1
5第3項)。
なお,議事録には,出席した評議員等の署名又は記名押印を要しない。

オ 決議の省略

理事が評議員会の目的である事項について提案をした場合において,当該提案につき評議員(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表
示をしたときは,当該提案を可決する旨の評議員会の決議があったものとみなすとされ(法第45条の9第10項において準用する一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号。以
下「一般法人法」という。)第194条第1項),この場合においては,評議員会の決議があったものとみなされた事項の内容等を内容とする議事録を作成しなければならないとされた(施行規則第2条の1
5第4項第1号)。

3 理事会

(1) 理事会の権限

理事会は,全ての理事で組織し,次の職務を行うとされた(法第45条の13第1項及び第2項)。

ア 社会福祉法人の業務執行の決定
イ 理事の職務の執行の監督
ウ 理事長の選定及び解職

また,理事会は,理事の中から理事長1人を選定しなければならないとされた(同条第3項)。
なお,理事会は,重要な業務執行の決定を理事に委任することができないとされた(同条第4項)。

(2) 理事会の招集,決議等

ア 招集権者
理事会は,各理事が招集するとされた。ただし,理事会を招集する理事を定款又は理事会で定めたときは,当該理事が招集するとされた(第45条の14第1項)。

イ 招集手続
理事会を招集する者は,理事会の日の1週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては,その期間)前までに,各理事及び各監事に対してその通知を発しなければならないとされた(法第45条の
14第9項において準用する一般法人法第94条第1項)。
また,理事会は,理事及び監事の全員の同意があるときは,招集の手続を経ることなく開催することができるとされた(同条第2項)。

ウ 決議要件
理事会の決議は,議決に加わることができる理事の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては,その割合以上)が出席し,その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては,その
割合以上)をもって行うとされた(法第45条の14第4項)。

エ 議事録
理事会の議事については,理事会が開催された日時及び場所,議事の経過の要領及びその結果等を内容とする議事録を,書面又は電磁的記録をもって作成しなければならないとされ,当該議事録が書面をも
って作成されているときは,出席した理事(定款で議事録に署名し,又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した理事長とする旨の定めがある場合にあっては,当該理事長)及び監事は,これ
に署名し,又は記名押印しなければならないとされた(法第45条の14第6項,施行規則第2条の17第2項及び第3項)。

オ 決議の省略
理事が理事会の決議の目的である事項について提案をした場合において,当該提案につき理事(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表
示をしたとき(監事が当該提案について異議を述べたときを除く。)は,当該提案を可決する旨の理事会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができるとされ(法第45条の14第9項において
準用する一般法人法第96条),理事会の決議があったものとみなされた場合には,決議があったものとみなされた事項の内容等を内容とする議事録を作成しなければならないとされた(施行規則第2条の1
7第4項第1号)。

4 役員

(1) 役員の選任
役員は,評議員会の決議によって選任するとされ(法第43条第1項),同項の決議をする場合には,法又は定款で定めた役員の員数を欠くこととなるときに備えて補欠の役員を選任することができるとされた
(同条第2項)。
なお,補欠の役員を選任する場合には,次の事項も併せて決定しなければならないとされ(施行規則第2条の9第2項),補欠の役員の選任に係る決議が効力を有する期間は,定款に別段の定めがある場合を除き,
当該決議後最初に開催する定時評議員会の開始の時まで(ただし,評議員会の決議によってその期間を短縮することを妨げない。)とされた(同条第3項)。

ア 当該候補者が補欠の役員である旨
イ 当該候補者を1人又は2人以上の特定の役員の補欠の役員として選任するときは,その旨及び当該特定の役員の氏名
ウ 同一の役員(2人以上の役員の補欠として選任した場合にあっては,当該2人以上の役員)につき2人以上の補欠の役員を選任するときは,当該補欠の役員相互間の優先順位
エ 補欠の役員について,就任前にその選任の取消しを行う場合があるときは,その旨及び取消しを行うための手続

(2) 役員の員数等
理事は6人以上,監事は2人以上でなければならないとされた(法第44条第3項)。
また,理事のうちには,次の者が含まれなければならないとされた(同条第4項)。
ア 社会福祉事業の経営に関する識見を有する者
イ 当該社会福祉法人が行う事業の区域における福祉に関する実情に通じている者
ウ 当該社会福祉法人が施設を設置している場合にあっては,当該施設の管理者

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